こ育発大558号 |
T.はじめに 少子化の進展、都市化、核家族化の進行、母子家庭や共働き世帯の増加など、子育てをめぐる社会環境は大きく変化している。子育てをめぐる社会環境の変化は、子育ての不安解消に向けた施策充実の要望、学童保育室入室希望の増加や学童保育の時間延長要望などの指標に顕著に現れている。 このような働きに対し、こども育成部では、子ども家庭支援センターの開設による総合相談事業及びファミリーサポート事業の開始、児童館における子育て相談の実施、子育てハンドブックの作成、池上児童館の拡充等により応えてきたが、子育て支援事業の一つである児童館・学童保育事業のあり方の見直しが急務となっている。 とりわけ、この4月からの学校週5日制の全面実施は、学童児の平日の児童館利用時間の実質的な短縮という影響をもたらしており、事業の実施形態の見直しを迫るものである。 また、学童保育室入室者は平成9年度の2423人に対し、14年度は3106人と、680人以上の増加を見せており、特定児童館の学童保育室に入室希望者が集中する傾向も生まれている。すべての入室希望者を今後も受け入れていくことは、現行制度のままでは施設的に困難となっている。 一方、社会経済は依然として低迷しており、民間企業では厳しい経営努力を余儀なくされている。自治体経営に対する区民の目にも厳しいものがあり、これからの施策は事務事業及び執行体制を厳しく見直すなかで実施されなければならない。 このためこども育成部では、これからの課題の解決に向け、児童館・学童保育事業をおおむね5年間、以下の方向性の下に推進していく事とする。 |
U.児童館・学童保育室事業の課題と今後の方向性 1. 新しい緊急学童保育対策事業 入室希望者が多く、児童館だけでは受け入れができない地域内の小学校で、ランチルームや体育館などの 学校施設を有効活用した新しい学童保育対策事業を実施する。 2. 学童保育の時間延長 保護者の就労支援を強化し、区民サービスの向上を図るため、学童保育の利用時間を1時間延長し、平日 の学童保育を午後6時まで実施する。 3. 子育てネットワークの形成強化 子ども支援センターとの連携を強化し、児童館のファミリールームを子育て中の親子の拠点とする。 4. 執行体制の見直し 基本的に対人サービスの提供を目的とする組織である児童館(含大東4セ)、学童保育室分室、こどもの家 は、事業実態に応じて非常勤職員、臨時職員を活用すると共に、職員配置を見直すことにより、更に効率的 ・効果的な事業執行を図る。 5. 児童館運営主体の多様化 池上児童館委託の評価を実施した後、更に委託・委譲等による運営主体の多様化を図る。 |
14年度 | 15年度 | 16年度 | 17年度 | 18年度 | ||
1 | 緊急学童保育対策 | 検討 | 実施 | 実施 | 実施 | 実施 |
2 | 学童保育時間延長 | 検討 | 実施 | 実施 | 実施 | 実施 |
3 | 子育てネットワーク | 実施 | 充実 | 充実 | 充実 | 充実 |
4 | 執行体制の見直し | 検討 | 推進 | 推進 | 推進 | 推進 |
5 | 運営主体の多様化 | 評価 | 検討 | 推進 | 推進 | 推進 |
V.今後の子育て支援施策の推進に向けて こども育成においては、社会環境の変化に適応し経営感覚に裏付けられた、区民満足度の高い行政サービ スを提供するため、児童館・学童保育事業の基本的なあり方の見直しを検討していくものとする。 なお、本指針の基づく施策は、「長期基本計画」、「おおた改革推進プラン21」、「保育サービス充実のた めの行動指針」等との整合性を図りながら実施要領を策定し、行政評価の実施、さわやか区役所の推進、 区民活動との連携・協働等を視野に入れるとともに、関係機関と協議しながら推進していくものとする。 |