保育中の事故と保険制度

 
   大田区の学童保育室・児童館における保険制度

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   私たちが児童館・学童保育室に求める保険制度 P2
   私たちが児童館・学童保育室に求める保険制度 P3

 

     大田区の学童保育室・児童館における保険制度

 

(1) 大田区の学童保育室・児童館では事故数が少なくありせん
 

 
 学童保育室や児童館は子どもが遊び、生活をするところですから事故や怪我はつきものです。しかし、ここ数年事故の数が増えたままの状態が続き、大怪我をする事故も発生しています。職員の削減、たくさんのオーバー対応で職員の目が行き届きにくくなったことや、子どもの危険察知力の低下、体が“もろく”なってきていることなど、原因が考えられます。このままでは重大な事故の発生や遊びが制限がされるなど心配です。事故を減らす努力と保険制度の充実が必要です。

 

大田区[子育て支援課」より:保険の関係で「事故報告書」が書かれた事故件数です
年     度 93 94 95 96 97 98 99 00 01
事故件数 59 33 63 81 100 83 131 104 121
学童保育入  室  数 2184 2241 2321 2409 2423 2518 2544 2703 2882
 

 

(2)学童保育・児童館では事故に備えての保険制度は不十分です
 
 大田区は学童保育室・児童館・学校・保育園などを含め区の施設などでの事故に備えて『特別区自治体総合賠償責任保険』(23区一緒)に加入をしています。

   『特別区自治体総合賠償責任保険』の内容
  @「賠償責任保険」:区の施設や施設管理者の責任がある事故しか対象にならない。
  
A「補 償 保険」:「見舞い金制度」で金額が低く保険とはいえない。
 
 
この保険ではたとえ重大な事故が起きても、区の過失が証明されなければ対象になりません。また、「補償保険」という「見舞金制度」も併用になっていますが、通院6日以上の怪我に対して1万円から最高で死亡時に50万円など、不十分で「保険」と言えないものです。
 
 そこで、学校・保育園・幼稚園では区に責任があるなしに関わりなく、どんな事故にも対象となる
「無過失責任保険」の『日本体育・学校健康センター保険』に、区の責任で加入をしています。
 残念ながら、学童保育室、児童館にはそれがありません。

 

 自治体総合賠償責任保険 保険料            補     償
  障害状況       補償内容
保険内容 賠償責任保険 区有財産建物面積10u当り95円 病院で治療したけが・入院のけが・後遺症のあるけが・死亡

5千万円を限度として、見舞金・治療費・損害賠償・慰謝料、全部を一括し、ケースごとにさんていする。

補償保険
(見舞金制度)
住民登録人口      

 1人当り3.2円

病院で治療したけが 6日以上通院で1万円(通院医療保障保険金)
入院のけが 1〜5万円(入院医療補償保険金)
後遺症のあるけが 1.5万〜50万円(後遺障害補償保険金)
死亡 50万円(死亡補償保険金)

    

 

(3)区は学童保育・児童館で遊んでいての事故は「区に責任なし」の対応 
 

 学童保育、児童館で起きた事故に対して、区は「遊びの中で起きた事故について区に責任はない」と言ってきました。区の過失は建物などの欠陥などに限定をし、遊びや生活の中での「施設管理者の保護・監視義務」についてまったく認めません。事故によっては「特別区自治体総合賠償責任保険」の「賠償責任保険」の対象になるではないかと思われる事故についても一切対象にせず、「見舞金制度」だけで対応をしています。
 
 「見舞金制度」では「6日以上通院で1万円」という補償があります。しかし、全治2ヶ月という骨折でも通院が5回内で終われば対象になりません。入院して10万や20万かかっても最高はで5万だけの補償です。

 また、喧嘩など、事故に関りのあった児童の家庭が責任を負わざるを得ない状況もおきています。   

 

 

 

私たちが児童館・学童保育室に求める保険制度

 

  大田区の学童保育室・児童館において、事故件数や保険制度の現状から、保育園や学校のように区の過失を問わないでどんな事故にも対応ができる「無過失保険」制度が必要だと思っています。
 特に大田区は児童館の数が52館もあり、その中に学童保育室がかならず設置されています。児童館の中では学童保育児だけでなく「一般利用」の子どもたちも一緒に遊びます。学童保育児には父母会でみんな保険に入る取組みができても「一般利用」の子どもたちの家庭では無理でしょう。

 子どもたちが一緒に遊んでいて事故が起きた時、保険が一方にかかっているけれど、一方にはかかっていないという状況が発生することも考えられます。大田区では乳幼児親子の活動もあり、児童館ボランティアも含めて、児童館利用者のすべてが対象になる保険制度が必要です。区の責任で保険制度を充実させていただきたいと思います。


     
私たちが求める制度は杉並区や豊島区ではすでに実施をしています。

≪調査は2000年2月≫
杉並区 豊島区
対象 児童館利用の児童・付添い父母・登録ボランティア、学童クラブ児童など。学童保育クラブ児童の自宅との往復途上の偶然な事故含む。 学童クラブ在籍児・児童館来館者及び行事
保険会社 安田火災海上保険K.K 安田火災海上保険K.K
保険の名称 杉並区立児童館施設管理包括傷害保険(普通傷害保険) 普通傷害保険
掛金 学童保育クラブ登録数、児童館来館者総数をもとに一括契約 一括契約予算3,430,450円
補償 入院1日につき3500円
死亡事故500万円
後遺障害15〜500万円
通院1日につき1500
  (事故の日から180日以内で90日限度)
児童館・学童保育クラブにおける偶然な障害。学童保育クラブ児童の自宅との往復途上の偶然な障害。
導入理由 児童館、学童クラブにおいて、区の責任に帰さない事故が年間を通じて相当発生する。区の責任ありと認めた上で適用される「自治体総合賠償責任保険」のみでは矛盾が多くなり、無過失でも治療などに要する費用や精神的負担(他児とのトラブルで発生した怪我などの場合)に対しても、何らかの手当てをしてやりたいとの意図から新しい制度を開発し契約を結んだ。 昭和62年4月1日初めて加入。(事故が多くなった)
その他の区の実施状況 学童保育児だけ 学童保育児・児童館
 板橋区 江戸川区 江東区(保護者負担)  世田谷区

 

 

   自衛手段で「学童保育保険」に加入しましょう

  学童保育室・児童館に学校や保育園のような「無過失責任保険」が必要な理由は、これまで 述べてきた通りです。区が対応してくれるまで 待っていられません。自衛手段で通称「学童保 育保険」に加入を父母の会で取り組むことをお勧めします。この保険に入るためにつくられた 父母の会もあります。 

    事故の事例1 

 入室説明会で館長の「区は保険に入っている」という説明に安心をしていたが、入室して間もなくの4月9日 に足を骨折の大怪我をした。手術も必要になって、費用は 20万近くになってしまった。区からの補償は見舞金だけだった。

    事故の事例2

 学校の中の学童保育室で起きた事故。鉄棒にぶら下がって遊んでいた1年生児 を、同じ1年生児が押したため、押された児童は地面に落ちてうでを骨折した。幸 い、両家庭とも父母会の取り組みで保険に加入をしていため、トラブルにならず 解決した。もし怪我した児童の家庭が保険に入っていなければ、押した児童の家庭 が補償せざるを得ない状況であった。  

    事故の事例3 

 6人の児童が一緒に遊んでいたが、一人だけ怪我をしてしまった。怪我をした子どもだけ8月に入室したため父母会は知らず、保険の情報は伝わっていなかった。 区に対して治療費を請求をしたが区は「責任ない」として拒否。結局一緒に遊んで いた他の5人の家族が治療費を折半した。

 事故の事例が示す通り、4月1日から全家庭で何らかの「無過失責任保険」に加入している ことが大切です。また、父母会で取り組みをはじめても年度途中に入室した家庭に保険の情報 を知らせる体制づくりも必要です。

 

 「学童保育保険」について

 
1.内容

 
通称「学童保育保険」ですが、本当の名称は『学童保育総合災害保障制度』といいます。東京都学童保育連絡協議会(大田学連協も加盟をしている)と保険会社が提携してつくった保険料の安い「無過失責任保険」です。


 

象範囲】 @ 学童保育としての生活・遊びすべて A 学校から学童保育への帰路・自宅・学保の往復 
【掛け金】   1家庭1児童800円・2人目以上児630円 
【補償期間】  1年間(加入日から1年経過日の午後四時まで) 。掛け捨て。
 名簿は途中入れ替えることが出来る。
【補償内容】  ○通院1日目から日額1300円(事故から180日以内で90日分まで)
 ○入院1日目から日額3300円(180日以内)など補償最高 599..3万円
※学童保育の生活とは直接関係の無い事故で も後遺症、死亡に見舞金が出る
【申込資格】  『学童保育室父母会』として申し込む。加入後何回でも追加申込みができる。
 (父母会全員の加入が原則だが、強制をせず各家庭の申込は自由の父母会もある)
【手続き】  @名簿が必要
  児童名・4月1日時の年齢・住所。
  2人目以上児は頭に○印をいれる。
A運用開始の3日前までに名簿提出と掛け金が 支払われること。会長名で申込をする(印鑑が 必要)。 担当者は会長以外の人でも良い。
 年間のいつでも申込むことができる。
【申込用紙】  保険会社「甲南保険センター」か大田学連協「事務局」o−gakudo@m78.com
     で取り寄せてください。

 

2.加入をしていて事故が起きた場合の対応


【1】  父母の会の担当者が保険会社に下記の内容について連絡する。
  
    @父母会名      A加入番号      B怪我をした児童の名前 
    C怪我をした日にち  D事故の発生状況   E怪我の状況

【2】  関係書類が送られてくる。

   関係書類のうち「事故証明書」は父母会長が書いて(あるいは学童保育室職員

   に書いてもらってもよい)送る。関係書類のうち怪我をした児童の保護者が書

   く書類は、治癒後送る。